3月と4月

よく聞かれるのですが、なぜこの月だけセルワークなんでしょうか?と。この絵をこの時期に持ってきたのには理由があります。そしてこの意図を汲んでくれるのはこの絵だけでした。

映画『さらば宇宙戦艦ヤマト~愛の戦士たち~』の物語の後半。都市帝国の攻防戦で敵の懐深く入り込んだ決死隊は、必要最低限のメンバー、つまり真田と斉藤は帰ることを望まず、古代に全てを委ねて動力炉爆破に向けて銃弾の中を駆け抜けていきます。
3月と4月は、別れと新しい出会いのある時期であり、自分自身が避けては通れない選択を迫られる時期でもあります。卒業、入学、入試、進学、昇進……。

そんなとき、観客である私たちに深いインパクトを与えたこのシーン、二人の動力炉突入の意味を考え、あるいは真田の古代への想いを思い返し、困難な闘いに勝って欲しいと願いこのセルワークをこの月に配置しました。
西﨑義展氏は、交響曲『宇宙戦艦ヤマト』第2楽章において『人の世は常に戦いの連続であり、また同時に成長の連続でもあります』と伝えています。戦い、そして成長。それがこの3月と4月だと思います。
では、使用している絵を説明します。
ここに配置されている絵は、皆さんよくご存じでしょうからあえて書かなくてもいいような気もしますが、左側の絵を上から順に反時計回りで書いていきます。
デスラー艦へワープを試みる艦橋内の島、真田。動力炉目前で古代を諭す真田。想いを伝えた真田のアップ。太田、雪、真田。古代を諭す真田。全身に銃弾を浴びながら大の字で踏ん張る斉藤。ザバイバルを蹴散らす斉藤。カクテルを作り終えカクテルの無事を伝える斉藤。古代の肩を叩き激励する斉藤。銃弾の合間から真田へ声をかける斉藤。
次は、中央から時計回りで右側下へ。デスラーの敗北を大帝に伝えようとするミル。デスラーを見下すサーベラー。古代と対峙するデスラーのアップ。メッセージを伝えるテレサ。雲海を飛翔するヤマト。主砲まで上昇するドックの水。都市帝国下部から狙い撃ちされるヤマト。都市帝国で被弾し噴煙を上げるヤマト。炎上する都市帝国に走るプラズマ。地球を後に巨大戦艦へ向かうヤマト。

1月と2月 宇宙戦艦ヤマトより

 表紙から最終ページに至るまで、左上に虹色の長方形があります。それは、アクセントとしておいたのとは別に、赤は古代、南部を、緑は島、太田を、黄色は森雪、相原を、オレンジは徳川機関長を、そして青は真田さんを表しています。何気なく入れたアクセントですが、説明を聞いた方が驚いていました。わたしは、特に強く意識したのではありませんが、偶然にも虹色なんですね。

 中央の絵は、ポスターの原画から撮影しています。スタジオヌエが描かれた大作です。ポスターを手にしたファンは印刷されたものを見ていますから、どうしても印刷時にできる細かいドットで構成された絵を見ることになってしまいます。原画は、印刷時できる細かいドットがないので絵が滑らかで、全く違った印象を受けます。初めて見たときは、このすべすべ感に驚かされ、思わず撫でたくなります。
 この絵を見たときに、永年の疑問が解けました。なんでこのヤマトは色が派手なんだろうか?という疑問です。詳しくは「Proud of YAMATO Visula BOOK BL」に詳しく書きますね。

 さて、周囲を彩る名場面ですが第一作目からです。左サイド上から下へ順に説明します。
 第18話手足のない真田を背負う古代、第16話ビーメラ星の女王様の大ピンチ!、23話スターシャとのホットラインを受けるデスラー総統、25話スターシャと別れの握手を交わす沖田艦長(感慨深い名シーン!)、第1話サーシャを抱き上げる古代、16話艦長室でアナライザーの猥褻行為を再現する雪(サービスカット)、22話急降下爆撃機をワープさせるドメル将軍、24話ガミラス星での激戦を終え、迫り来るイスカンダルを見る古代と雪。次は、上段中央から時計回りです。第11話バルーンヤマトを発射するヤマト、ドメル艦隊の出撃、冥王星反射衛星砲の全景、第3話超大型ミサイルに主砲を向けるヤマト、全話共通赤い地球、第24話濃硫酸の海から上昇するヤマト、第1話夕陽を浴びて眠る大和、第26話地球へ帰還するヤマト、第一艦橋、第22話ドメル艦隊の全滅。以上となります。

 これらの情報は、できあがったカレンダーを見て書いています。
 すでに12月分まで書き上がっていますので、順次アップいたします。

2014年 表紙

 表紙のヤマトは、実物大です。宇宙戦艦ヤマトの実物大ではなく、セル画に描かれたヤマトをそのままのサイズで撮影しています。『永遠に』のポスターで銀河をバックに使われていたヤマト(その後Ⅲでもつかわれていました)と、二重銀河を抜けたあとの白色銀河をセットにしています。恐らくこの組み合わせは初めてではないかと思います。最新のデジタル機器での撮影ですので鮮明であり細かい描写が再現されています。背景の白色銀河は、Proud of YAMATO Visula BOOK(001-044,045)に見開きで収録はしましたが、A4サイズという中で縮小しなくては収まらない大きさでした。今回は、トリミングこそしてありますが実物大での収録となりました。
 今回のカレンダーの周囲は、中央の黒とはちょっと違った艶のある黒です。中央の黒はスミ一色(色気のない黒)ですが、周囲の黒は「リッチブラック」と呼ばれる高級感溢れる艶で光っています。
 このカレンダーは、もともと「リビングに飾れるポスター」をテーマに2013年5月から製作を始めました。当初はポスターということでB2版のサイズでデザインを始めていますがカレンダー用にレイアウトを変更しています。「Proud of YAMATO Visula BOOK BL」の購入者特典でもいいかな?という考えもあり進めていました。
 77年に劇場公開されてから宇宙戦艦ヤマトは作品を象徴するポスターが作られてきました。それをフレームに入れて飾ってもいいのですが、すでに手元にない方のために新しい宇宙戦艦ヤマトのポスターを作ってみたらどうだろうか?というところからのスタートでした。大人になった当時からのファンが、リビングに飾っても違和感のないおしゃれなデザインで、しかも名場面がちりばめられている、そのようなタイプのポスターが必要なのではないでしょうか。リビングにさりげなく飾ってあるといった感じです。
 使用する絵を選定するために何度も打ち合わせを行いました。この経過については、後日、書ける場所があったら書きますが非常に興味深い内容となっています。紆余曲折を経ているうちに時間は流れ、部屋の壁に貼られたB2サイズの7種類のポスター(できあがりの具合を見るためにサンプルを作っています)を眺めていると時は既に9月でした。カレンダーも作らないといけない時期です。おかげさまで2013年のカレンダーは好評を頂き、綺麗にファイルにしまっているという声も届きましたので今年も作ることにしました。
 カレンダーのサイズ、デザインを考える段になって、ふと顔を上げると目の前には7種類のポスターがあります。
 これを利用すれば、まさに「アートフレーム・カレンダー」が出来上がります。つまり、カレンダーとして使い終わったら、指定したサイズにフレームのマットを切っていただければ、そのままポスターとなるようにデザインされているということになります(当然カレンダーの数字は消えるようなっています)。
 
 では、表紙絵の続きを説明します。メインの絵は「永遠に」がベースになります。
 周囲に使われている絵は、左上から反時計回りで「完結編」出航するヤマトの後ろ姿、自沈するヤマト、「さらば」海面から発進するヤマトの後ろ姿、第一作目ガミラス星の海底で波動砲を発射した後のヤマト、「Ⅲ」アルプス秘密ドックのヤマト、「さらば」ポスター用のヤマト後方、「永遠に」イカルスに眠るヤマトです。
 右上の左から時計回りで、「さらば」英雄の丘で全員敬礼、「Ⅲ」願いを込める雪、古代、土門、「2」瀕死の島を見守るテレサ、「完結編」クイーン・オブ・アクエリアス、「永遠に」宇宙空間で古代たちに別れを告げるサーシャ、第一作目で守を見つめるスターシャ、「永遠に」アルフォン少尉を見つめる雪、「さらば」祈りのテレサ、「Ⅲ」ルダ王女、となっています。歴代の女王が並ぶ右サイドと、ヤマトの戦歴が見られる左サイド。どちらも思わず見入ってしまう絵が目白押しです。
 21世紀に歴代宇宙戦艦ヤマトの『絵」を使って新しいコンセプトのカレンダーが登場です。

 なお、表紙には、2013年の11月と12月のカレンダーがついています。