18,19ページ 航路図

 航路図
 何度も見慣れている航路図ですね。何度も!何度も!見ていますよね?
そう思って、サントラ盤LPレコードを開きました。あれ?違う。じゃぁ、LDの全話ボックス。違う。じゃぁ、パンフレットは?あれ、違う。そうです。これほど丁寧に航路図を見比べたことはありませんでしたが、是非とも、手持ちの本やパンフレットなどの資料を広げて航路図を見比べてください。
 まず、背景画が2種類あることに気づくと思います。銀河系やマゼラン星雲が違う物です。
 そして、イスカンダル星とガミラス星の位置がこまめに変わっていることに気づくと思います。銀河系に近かったり、遠かったり。そのほか、七色星団やバラン星の位置が……。
 何種類あるんでしょうね。
 で、結論として、この19ページの字体(セルに絵の具で書かれた文字)の航路図は、未だに掲載された書籍が発見されていません。もしも、発見された方はご連絡をお願い致します。

5月8日 追加
 今回、本書の「航路図」が掲載されている書籍を発見しました!
 1977年9月号「English Today」誌のP77から始まる
 「English on screen 宇宙戦艦ヤマト Space cruiser YAMATO」にて
 本書と同じ航路図が掲載(P80)されていることを発見致しました!

ついに発見!航路図!

ついに発見!航路図!


 この本は、コロムビアから発売されていた英語版のサントラを収録して教材としていました。
 対訳のページに航路図として掲載されているのが、本書の航路図です。

 ただし、本家のコロムビア版に掲載されている航路図には、宇宙は描かれていますが、文字が一切ありません。
 やはり日本語しかないのが意味をなさないのでしょうか。

16,17ページ ガミラス星と翼

 ガミラス星
 構成のイメージ的にはガミラス星を撃破して、イスカンダルに到着したヤマトです。
 しかし、このガミラス星は第4話の冒頭で使われた物です。まだ制作時間に余裕(?)があったためか、ロングで引いた絵にも、二重構造であることが判る描き込みがされていますね。フィルムになる前の鮮明なガミラス星が確認できるかとお思います。

 翼を広げるヤマト
 イスカンダル星を出航する際に安定翼を広げるヤマトの勇姿です。戦艦を正面から見たという構図がいいです。
 これは初期の劇場用に描き起こされたカットですから、スクリーンで見たときには、ちょっとザラザラした感じの絵だったと思います。私たちは、ヤマトのTVシリーズにせよ劇場版にせよ何度も見ていますから、このシーンは見慣れてしまっていますよね。テレビの何カット目か?とテレビシリーズを見返してもこのシーンはありませんでした。本当です。25話の最後も、26話の冒頭にもありません。テレビシリーズでは、あっけなくイスカンダルから離陸(?)しています。

14,15ページ 兵器開発部を視察

 兵器開発部を視察する二人。
 第21話「ドメル艦隊、決死の挑戦状!!」からのシーンですが、この絵の独特な色遣いもさることながら、兵器をいかにも開発中であるという見せ方が素晴らしいと思いませんか?この回の絵コンテ担当は安彦良和氏なんですね。ただ、このカットは、安彦氏の描かれたコンテ(すごい描き込みがなされている!)とはレイアウトが微妙に違います。作画監督をされた坂本三郎氏が変更したのかも知れませんが詳細は知る由もありません。
 独特な色合いが楽しめるのでセル画なしも掲載しました。この回の背景担当は、東条俊寿氏です。

13ページ 瞬間物資移送機

 瞬間物資移送機
 豪華本1050ページに同じ絵がありますが完成本体のみで、右側の組立中は写っていません。この絵は、横にカメラが移動したので横長の絵になっています。

11,12ページ 七色星団とデストロイヤー艦

 七色混成発光星域=通称七色星団の入り口ですね。
 当時、7色パンティーというのが流行っていたから名付けたというのは有名なエピソードですが、一つのパンティーに7色なんでしょうか?それとも7色のパンティーが一セットで売っていたということなのでしょうか?謎は深まるばかりです。
 この背景はTV版でも劇場版でも(同じフィルム)使われました。ヤマトが左側へ(つけPAN)通過するシーンと止めのヤマトが写っている2カ所ですね。この絵の下にはタップ穴(?)が描かれていますね。

 駆逐型デストロイヤー艦(GSA-3-a)
 豪華本によると「もっとも一般的で大量生産されている」タイプだそうです。でも、ドメル艦隊は配備していませんでしたね。
 一番気になるのが迷彩塗装です。確かに手描きでこれをやったら迷彩塗装部分は恐らく色トレスになったでしょうから担当者は死にますね。迷彩塗装が却下になったので、クィーン・エメラルダスでやり返した(?)と松本氏は語っているようです(wiki調べ)。
 この絵もかなり大きく描かれているのですが、なぜか中央にポツンとデストロイヤー艦が描かれているといった感じです。設定資料をそのまま写して描いたのではないかと推測するのですが、なぜ、背景をこれほど大きくしたのかはわかりません。宇宙を航行している様子を描きたかったのかも知れませんが。今回の企画は、絵の全体を見せることにありますが、この絵だけはデストロイヤー艦をアップにしました。
 姉妹品として「クルーザー型」も存在していますので、次回!

10ページ イスカンダル星とガミラス星

 イスカンダル星とガミラス星。
 実は、このボードを見つけたときに、ちょっとした驚きがあったのです。
 全く同じ絵がもう一枚あったからです。
 パーフェクトマニュアルを見ていただくとわかりますが、槻間氏と勝又氏の
両氏が同じように描かれているのですが(違いますね。勝又氏が同じように描かれた
のですね)、これが、またビックリしたことにコピー機でコピーしたようにウリ二つ
なんです。
 最初に発見したときは、どなたがどちらを描かれたのか判らずに悩みましたが、
紙の劣化具合と、イスカンダル星とガミラス星を取り巻く(電子?の)雲の形が
微妙に違うところから判断しました。

 そして、悩んだのが、実際の画面ではどの話数で使われたのか?が判らなかったことです。一応、テレビシリーズは目を通して、*話の*カットまで調べたかったのですが、似たような構図でそっくりな絵が何回か出てくるのですが、微妙に雲の形が違ったりしていて、結局は不明のままです。

ちなみに、以後、どこで使用されたかを探るために、テレビシリーズ、劇場版の全てを何度も何度も繰り返し見ることになったのです。
 そもそも、生粋のヤマトファンは、テレビシリーズにしても、映画にしても何度見ても飽きないので、このような捜し物を始めると余計なシーンも見てしまい、1日かかっても終わりません。
 特に解説書で複数カットで使用されている記述をみたら「あぁ、苦労して探したんだな」と思ってください。そして、そのシーンを見てください。本書が2度美味しくなる時間です。
 また、後述する001-036、001-055の2ページは、スクリーンとは違った見え方です。是非とも見比べてください。

 

8,9ページ ワープ中とエネルギー伝導管

 ワープ中の計器類。
 現代なら、しっかりと描いておいて、エフェクトで、ぐにゃっと処理してしまうところでしょうが、ゆがんだ状態を描いています。そもそもワープ中に周囲がグニャグニャとゆがんで見えるという発想がすごいです。
 いわゆるレイジメーターですね。

 エネルギー伝導管。
 徳川機関長が「エネルギー伝導管が溶けて折れています!」と叫ぶんですが、これって波動エンジンじゃん?と思われた方も少なくないと思います。私も、そう思いました。
 大きさ的には、波動エンジンほどですよね。近くにいた機関士たちも小さく見えたし。
 でも、溶けているのは「エネルギー伝導管」なんですね。だからといって、設定資料を引っ張り出して「どこだろうかぁ?」なんて探すのは野暮ってもんですね。
 色味も綺麗だし、正常じゃない状態の波動エンジン……おっと、間違えた。正常じゃないエネルギー伝導管の登場回数は少ないので、今回は、掲載となりました。
 この2枚は、通常(?)の大きさでB4程度です。
 

6,7ページ ヤマトイメージ

 この2つのヤマトは、プレスシートやパイロットフィルムで見ることが出来ました。
 絵のサイズは、75cm×50cmもの大きさがあります。
 A2を切っています。
 この絵が描かれたのは、パイロットフィルムが作られた頃ですから74年の8月前ということになります。
 よく見ていただくと2番主砲、1番副砲、尾翼の長さが短く描き直されているのがわかると思います。こだわりますね。
 セルの上に、紙に描いた内部を載せてバリエーションを持たせています。

 この絵を見ても、お金をかけているなぁと感じさせられます。
 (お金がなかったから、企画書は10冊しか作れなかったということですが、大事なところにはお金をかけるんですね。これは大事なことです)
 この2枚の絵を見て(特に背景)何か気づきませんでしたか?

4、5ページ 艦底を見上げる

 ヤマトの艦底を見上げる3人と1体。
 この絵も必要以上に大きく、驚かされました。
 そもそも、これだけの情報量を描ききるためには、そうとう大きな紙が
必要となりますが、テレビで見ているときには、そんなことを意識しませんでした。
 筆の細さにも限界はありますからね。
 だから、あれだけのビルを描き込もうとすると必然的に大きな紙が必要と
なるのでしょう。また、その上に乗る人物のセル画も大きいのです。
 余談ですが、セルを載せたときと、外したときでは色味が若干変わってくるのがわかるでしょうか。
 ちなみに、セル画が2枚重なっているときに3枚目を重ねようとすると、突然、画面の色が
変わってしまうので、それを見越して最初の2枚の時に何も描かれていないセル画を重ねておきます。
これを「から(空)セル」というのだそうです。
 デジタル全盛の今では、考えられませんね。
 
 

3ページ目 赤い地表

 地球が赤く焼けて、クレーターが剥き出しなんです。
 確かに、月を見れば隕石が衝突すればクレーターが出来て、ボコボコに
なることはわかります。
 それが、地球に出来ている。しかも、原子爆弾の何十倍も破壊力を持つ「遊星爆弾」で
地表は焼き尽くされ、放射能が充満している。
 すごい発想力です。
 それを絵にしたのも凄いことです。 
 地表がひび割れています。
 この状況を「無」から考えだし、イメージして、「絵」にすることは、かなり難しいと
思われます。しかも、妙にリアルです。地表が茶色というか赤っぽいイメージは、
どうして出来上がったのでしょう。火星には水がなくて赤く見えるから?地表が焼き尽くされたから?
 地球上で、地表といえば、例えば砂漠ならベージュ色ですよね(中森明菜さんの「サンド・ベージュ 砂漠へ」は、ベージュ色って事から付けられていますよね)。火山地帯だと、溶岩の冷めたような色ですから黒っぽい色になります。火事のあとは灰が多くなりますからグレーっぽい色です。
 なぜ、こんな色を創造したのでしょうか?
 この絵は、TVシリーズだとエンディングで「あの娘がふっていた~」のあたりで出てきます。
 映画でも冒頭で出てきます。
 この地表の「絵」は、もう一枚あります。別な場所と思われます。それも、また味があります。
 映画や、テレビでは、すごく赤茶けて見えますが、実際の絵は黄色とオレンジに近い近い色です。これも驚きです。
 この2ページを見ていただいたときに、川島和子さんのスキャットが頭の中で聞こえてきませんでしたか?