81ページ 島大介

島君は、サルガッソーのシーンからです。島君は、一応サブキャラクターという立ち位置でしょうけれど、古代と喧嘩をしたり、「2」では、テレサと恋仲に落ちたり、「Ⅲ」では艦長に就任する古代に嫉妬したりと、他のサブキャラクターよりも存在感をだしていましたね。「完結編」での最後の告白は涙なしでは見られませんでした。あのシーンで「2」のテレサを少しでも思い起こしてくれたらと願ったのは私だけではないはず。その完結編の資料の中にまじって、島を見守る古代と雪のセル画がまとめて出てきました。もう一度、撮影し直したかったのでしょうか。完結編のセル画の中には、もう一度撮影したいという願いから保存されていたものがあります。
さて、島大介で忘れてはならないのが声をあてていた(いまはCVという)仲村秀生氏です。氏の声は、島にとてもマッチしていたと思います。第1作目のオーディションでは、古代役だったというから驚きですが(※注:私の記憶違いかも知れません)、紆余曲折を経て決定された配役に誰も異論はないでしょう。ファンレターの中に相談事が含まれていると島の気持ちになって書かれていたとのことですから、役に徹する心構えはさすがです。
声優といえば、西崎氏も声優として参加されていたのはご存じでしょうか?本人が語ったので間違いはない(?)と思いますが、デスラーの伊武氏が不在時に代役でデスラーをやったとのことです。第1作目のDVDを1話からよく聞き直してください。「新たなる旅立ち」まで聞く頃には判明していることでしょう。
で、今回の「絵」ですが、キャラクター描写のうまさを感じていただければと思います。表情とデッサン力です。あまり巧くないアニメーターが描くと胴体が薄っぺらくなったり立体感がなくなります(薄い昆布がクネクネ折れて座っているようにみえる)。この1枚と、前ページの2枚は、本編の中でしっかりと使われているカットです。
余談ですが、80ページのカットは、カメラで撮影し、81ページのカットはスキャナーで取り込んでいます。これは技術的な事とサイズによるのですが、どちらも一長一短ありましてできあがりの「味」のようなモノになります。スキャナーで読み込むとセル画の厚みまで出てくるので面白さがありますね。

80ページ 真田、アナライザー、そして太田

真田さんファン、太田さんファン、そしてアナライザーファンのための1枚。
ページの構成上、3人が同時に映っていて、印象的なカットを探さなくてはなりませんでした。「さらば~」のなかで数少ないハッピーなシーン(ぬか喜びともいう)で、その時の空気を一番感じ取る事ができる、キマっているカットを選びました。アニメーションは静止画の連続で「動き」を表現しますから、1コマだけ見ると「止まっている」絵を見ることになります。が、このシーンは、1枚の絵なのに「動き」を感じさせてくれます。コンテの巧さと作画の巧さですね。真田さんの表情がキマっているカットといえば、同作の「古代、立派な艦長になるんだぞ」のシーンで顔のアップになり、光が多重露光するところですね。あれは劇場用のフィルムから撮らなくてはなりませんから今回の趣旨に反します。残念ですが「さらば宇宙戦艦ヤマト~愛の戦士達~」の究極的な豪華本の出版までに温存しておきましょう。本家のアカデミーが出版した「豪華本」には、当時としては珍しい、シナリオの決定プロセスが事細かに記されていて制作の過程を知るには絶好の教科書となりましたが、肝心な「絵コンテ」についての記述は一切ありません。スケジュールの中にも、シナリオの立ち上がりからラストシーンの重要な打ち合わせが何度もされていることはわかりますが、「絵コンテ」について、いつどこで描かれていたのかさえ触れられていません(完結編は、白壁荘で描かれたのが有名)。意図的だったのかも知れませんが、シナリオと並んで「さらば~」の重要な『生き証人』とも呼べる資料ですからこれを見ずに「さらば~」は語れないと思います。特に「出来上がったシナリオは5時間近くあって」とか「4時間の物語が」といわれていたわけですから(上映時間は、恐らく原稿用紙換算だと思われますが)その全容を知るためには「絵コンテ」の解析が必要です。その重要な「絵コンテ」は、「決定稿」から上がってきたものを書き上げた「第1稿」と、何度かの打ち合わせ後に改訂された「最終稿」が存在しています。「第1稿」は、鉛筆の黒鉛がこぼれ落ちる程の生の原稿で、現在は、切り貼りしたセロテープが経年変化で粘着力を失い、バラバラになってしまうのを防ぐために1ページ1ページ丁寧に補修中です。補修が完了後、公開を予定しています。この「絵コンテ」はスタッフに配布された当時のコピーモノではなく原版です(当時のコピーは、濃淡の表現が苦手で濃い線のみ写し取っていた)。これを1枚1枚スキャンして、最新の印刷技術でプリントしますから、微細で生々しい手書きの世界を堪能できます。シナリオにあって本編でカットされた幻のシーンもたっぷりと含まれています。例えば、テレザート星からの帰路で、ヤマトが瞬間物資移送機を使った駆逐艦からの不意打ちを食らうシーンでは、メインクルーが作戦室で「ワープを重ねれば太陽系に入る前に白色彗星に追いつける」といった立案をしていますが(ひおあきら氏のコミックには掲載)、そのシーンですら更に多くの会話がなされていて緊張感を高めています。ファン必見の一品です。