『追憶』 イントロダクション

tittle私が、なぜ西﨑義展氏のことを書こうと決めたかといえば、アニメーションというジャンルの映画の価値を限りなく昇華させた人間として、誰もが知っている表の部分とは別の面を知り得たからに他ならないからだ。

これはプライバシーの暴露ではなく、人間として魅力的に思えた部分が、氏の持つ独特な負のイメージを十分に払拭してくれると確信しているからだ。1999年の6月に氏からの手紙を受け取り、2007年の夏以降2010年の父島まで、朝のお迎えから製作現場、あるいはプライベートな旅行、そして帰宅して就寝するまでを付き添った私でなくてはできないことだと思う。

内容の半分をこのブログに掲載した時点で書籍化することを前提としている。西﨑義展氏はことあるごとに「恥を知れ!」と教誡することがあった。それは育てられてきた品位ある家庭環境に由来する言葉だと思う。数多く聞いた言葉の中から特に印象深い意味を持っていたように思う。

どん底の中で、思ったことだという。「今、自分自身がなにをして、どこに向かっているのか?わからないとは言わせない。恥を知れ!」