63ページ 秘密ドッグのヤマト

この1枚は勝負の1枚です。本書の存在理由にもあたります。
余白まできっちりと収録できる絶妙なバランスで配置できました。本書の解説でも書きましたが、とにかく使われた部分が少なく、全体像としては見ることができません。いくつかの書籍でも紹介されていますが、大きくじっくりと見られるのは本書が初めてではないでしょうか。右手前の桟橋部分では、長年(?)海水に浸かり生えてきた藻やこびり付いた汚れを感じさせますし、船との間につけられたライトの照り返しがうまく表現され暗いだけのドッグの中でアクセントになっています。
当時、こういった重厚感のある絵は、勝又氏の独壇場となっていましたね。
海底ドッグのシーンは何枚かありますが、見て納得できる一枚をセレクトしました。
ちなみに、今回のヤマトの桟橋へのつけ方は「出船(でふね)」と呼ばれるつけ方になります。「出船」とは、入港して桟橋につけるときに、くるっと回頭してすぐに船が出られるようにつける方法をいいます。逆に頭から入れることを「入り船(いりふね)」といいます。自動航行で帰ってきたとなると、かなり高等な技術で船を桟橋につけたことになります。
映画のシーンとしては、入り船で停泊していたのでは、出港時にお尻から出ていくのでサマになりませんよね。
よく見るとアンカーもおろしていて雰囲気を盛り上げています(001-060では両側のアンカーをおろしていますよね。こちらでは左舷のみです)。
手前にガントリーレクーンもいい感じです(001-060と位置関係を確認してください)。この巨大なガンとリークレーンは、終始背景に出てきます。
「さらば~」の時のようなドライドッグではなく、海に浮かんだままというのは、戦艦大和を意識してのことでしょうか。
「やっぱりフネは海の上だよな」と古代も言っていましたし、ヤマトが海に浮かんでいる様子は絵になります。
実際の映像では、古代がタラップを上がっていました。