73ページ 第一艦橋

あまりに端正に丁寧に全面が描かれているのでイメージボードかと考えていました。が、やはり「劇場版クォリティー」ですね。実際には中央から左半分のみを使っていました。ヤマトが2度目の出港を果たすときに洋上を航行する場面です。荒波が甲板を洗い、ヤマトのマストすら隠れてしまう大波が押し寄せる。大海原を進むヤマト。いいシーンでした。
余談ながら、復活篇の制作時には第一艦橋も3Dデータで作成されていて、どのアングルからでも作画の指示にあわせて出力されていました。実際に使用する際には、手書き(PCにグラフィックソフトで描き込む)で1カットずつ描かれていました。そのような描き方ができる現代なら、パースは前方から俯瞰した感じで、高さはこれくらいでと指示をして3Dソフトで出力させれば、オペレーターはマウスをクリックするだけですが(それなりに苦労はしますが)、完結編当時は、レイアウトを描いて、原画を描いて、それを紙に写して色を付けるという気の遠くなる作業を繰り返していました。
設定資料を見ながら全体を描いて、メーターなどの配置を整えて(手書きなのでパースが狂うとおかしな絵になってしまうから大変です)、かなりの数のメーターに色を付けていくことになります。
プロのお仕事ですから、それなりにコツというものがあるのでしょうが、画用紙に描いた鉛筆の下絵は、色をつけていくと消えていきます。(絵を斜めから見ると強く描かれた鉛筆の線は跡になっていて見ることができますが)つまりパネルに色を塗ってしまうとメーターをもう一度描かなくてはならなくなるのです。
直線で構成されたメーター類は(消失点とかパースをつける方法があって)定規で描いていくのでゆがむことはありませんが、斜めになった円で構成されたメーター類は、変にパースをつけると浮いて見えたり、潜っているように見えたりで難しいのです(その点、3DCGはPCが計算して変形させるのでパースが破綻することはありません)。
この第一艦橋の質感もさることながら、全体のパースやメーターの正確な描き込みにも注目していただければこの絵の良さがわかるでしょう。