本の体裁

 本の体裁は、代々伝わる豪華本のイメージで作りました。
 持って重くて、中のページを大切に保護してくれる「上製本」です。

 手に持つと指紋が付いてしまうほどの光沢感。
 タイトル部分は、箔押しという金箔を張り付けた製法で、最近の技術向上に
より剥がれることはないそうです。また製本時も、コンピューターの管理により
1ページ1ページチェックが入れられ、乱丁、落丁は起きないそうです。
 恐るべしデジタル化ですね。
 
 当初は、B4で製本しようと考えました。
 背景画やイメージボードはA判が多いのですが、絵にあわせて
切ってあったりするので、B判でも収まりは良いのです。
 ただし!これをやるには、相当な財力がないとできないことが
わかりました。詳細は「印刷」の項目で書きます。
 周囲からも、相当な勢いで止められました。
 でもね、と私は思いました。
 この本に収められた絵の数々は、筆舌に難いほどの大きさなのです。
 それをファンの方々に、なんとかそのままの形でお届けしたい!と
願って様々な方策を検討したのですが。次回の重要案件として保留です。

 ファンの方々にお見せするにあたり、まずは、価格設定から始めました。
 この本を買うのは当然、当時からファンである人達です。 
 まぁ、社会的に地位のある人達もいるでしょうけど、子供も居て
 生活にそこそこのゆとりはあるかも知れないけど、余計な出費は
抑えなくちゃいけない人達が買うのではないかなと考えたのです。
 ならば、せめてCD1枚と同じくらいの値段なら出せるんじゃ
ないのかなと。
広く多くの人に見てもらいたいのですから、作ったけど高すぎて
買えないんですけどなんて言われたら元も子もないので。

 通常、商品の価格は原価から考えられます。
 そうすると、作り手の都合で価格が決められてしまうのであって
それを欲しいと考えるファンが、買えるのか?買えないのか?は
二の次になってしまうのです。
 (その良い例が、とあるオフィシャルの出した5万円の豪華本でしょう)

 私は、この本は、多くのファンの人にみて欲しいので、その人達が買えそうな
値段から決めていったのです。
 実際、郊外型の大手販売店は、対象顧客の年齢から購入できる
金額を算出し、そこから逆算して原価を決めて商品を企画しています。

 私も、それに習ったのですが、失敗したかも知れません。
 売価を決めて、それに見合った原価を出そうとしたのですが、
何を、どんな風にあがいても原価は、下がらなかったのです。
 
 ですから、俗に言う「薄利多売」状態です。
 余談ですが薄利も怪しいです。

 それでも、当初思い描いていた、重厚感のある本を作り、多くの
方に見て貰いたいという目標は達成できました。
 というか達成させてしまいました。
 本書をお手にとられましたら、是非、そのあたりも見て戴けたらと思います。