ロードショー別冊などではお馴染みの、古代が土方に艦長就任のお願いをするシーンですね。
ヤマトは、艦長不在のまま出港してしまったので、当然、艦長が必要になるのですが、このシチュエーションを考えついた制作陣の物語の組み立てには頭が下がります。
物語の途中から艦の責任者=艦長を乗せるというのは、なかなか難しい展開だと思います。
古武士的な土方艦長の熟慮に熟慮を重ねた末の判断。古代達を説得して地球に引き返すオプションもあったでしょうが(敵の強さを身をもって知っているわけですから)、そのまま艦を進める決断。自らの進退問題も含めての重大な責任。それらのストリーの流れを汲んで、古代を横に遠くを見つめる土方の表情が全てを物語っています。
この1枚の絵の持つ重みは「さらば~」の中にあって貴重なモノだけにカットされてしまったことが惜しまれます(と思います)。(土方の心情とバックグランドは、艦長席に着いたときの意思の表明で現れていますからカットされてしまったのでしょうね。舛田監督は、ホントばっさりと切りますね。復活篇の時もそうでした。脚本の決定稿を一旦持ち帰って、次の会議の時に自身がカットした脚本を持ってきたのですが、これが情け容赦のない切り方で、西崎監督を初め脚本家の皆さんも絶句するほどでした。私は、舛田氏がカットした脚本を、そーっとコピーして今でも隠し持っています。その理由は、後ほど)
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82ページ 土方とユキ
このカットは劇場未公開カットです。
土方艦長を「ゆうなぎ」から救出し、手術を終えてからのシーンとなります。第一艦橋で古代の状況報告があって、その内容を病室でモニターしているというシーンです。次のページの古代と土方は、その流れを受けてロードショー別冊でも使われていたので、ご覧になられた方も多いと思いますが、本カットを目にされた方は少ないと思います。ひおあきら氏のコミックの中には描かれていましたが、本編と同じ絵でみることが出来るのは「さらば~」ファンとしては嬉しいことです。
ヤマトの資料の中には「さらば~」の未公開、NGカットのフィルム(35mm)があって、タイミングが合わなかったカットや、いま見てもこれはNGじゃ?と思われるようなカットもあります。テレサが幽閉されている地下空洞から現れるシーンでは、テレサの後ろから発せられる光(後光?)が円を描いて現れたり、棒状に放射されたりといったテストショットも存在しています。そして驚くべきは、幻のラストシーンとも呼べるカットが存在していたことです。現在の制作システムならオールPCですから、映像のファイルにタイムスタンプといって日付、時間が記録されているのですが、フィルムになってしまうとそれがいつ現像されたものかわからないので、知る手がかりがなく悔しい思いをしています。貴重なフィルムななので「Proud of YAMATO Visual BOOK GD」にて公開できればいいのですが。(フィルム缶には、撮影、現像所から必要な情報が書き込まれたメモが入っていたり、ラベルが貼ってあるのですが、細切れに押し込まれていると、もうなにがなんだかわかりません。
ユキがしっかりとフォローしているのがいい絵ですね。
81ページ 島大介
島君は、サルガッソーのシーンからです。島君は、一応サブキャラクターという立ち位置でしょうけれど、古代と喧嘩をしたり、「2」では、テレサと恋仲に落ちたり、「Ⅲ」では艦長に就任する古代に嫉妬したりと、他のサブキャラクターよりも存在感をだしていましたね。「完結編」での最後の告白は涙なしでは見られませんでした。あのシーンで「2」のテレサを少しでも思い起こしてくれたらと願ったのは私だけではないはず。その完結編の資料の中にまじって、島を見守る古代と雪のセル画がまとめて出てきました。もう一度、撮影し直したかったのでしょうか。完結編のセル画の中には、もう一度撮影したいという願いから保存されていたものがあります。
さて、島大介で忘れてはならないのが声をあてていた(いまはCVという)仲村秀生氏です。氏の声は、島にとてもマッチしていたと思います。第1作目のオーディションでは、古代役だったというから驚きですが(※注:私の記憶違いかも知れません)、紆余曲折を経て決定された配役に誰も異論はないでしょう。ファンレターの中に相談事が含まれていると島の気持ちになって書かれていたとのことですから、役に徹する心構えはさすがです。
声優といえば、西崎氏も声優として参加されていたのはご存じでしょうか?本人が語ったので間違いはない(?)と思いますが、デスラーの伊武氏が不在時に代役でデスラーをやったとのことです。第1作目のDVDを1話からよく聞き直してください。「新たなる旅立ち」まで聞く頃には判明していることでしょう。
で、今回の「絵」ですが、キャラクター描写のうまさを感じていただければと思います。表情とデッサン力です。あまり巧くないアニメーターが描くと胴体が薄っぺらくなったり立体感がなくなります(薄い昆布がクネクネ折れて座っているようにみえる)。この1枚と、前ページの2枚は、本編の中でしっかりと使われているカットです。
余談ですが、80ページのカットは、カメラで撮影し、81ページのカットはスキャナーで取り込んでいます。これは技術的な事とサイズによるのですが、どちらも一長一短ありましてできあがりの「味」のようなモノになります。スキャナーで読み込むとセル画の厚みまで出てくるので面白さがありますね。
80ページ 真田、アナライザー、そして太田
真田さんファン、太田さんファン、そしてアナライザーファンのための1枚。
ページの構成上、3人が同時に映っていて、印象的なカットを探さなくてはなりませんでした。「さらば~」のなかで数少ないハッピーなシーン(ぬか喜びともいう)で、その時の空気を一番感じ取る事ができる、キマっているカットを選びました。アニメーションは静止画の連続で「動き」を表現しますから、1コマだけ見ると「止まっている」絵を見ることになります。が、このシーンは、1枚の絵なのに「動き」を感じさせてくれます。コンテの巧さと作画の巧さですね。真田さんの表情がキマっているカットといえば、同作の「古代、立派な艦長になるんだぞ」のシーンで顔のアップになり、光が多重露光するところですね。あれは劇場用のフィルムから撮らなくてはなりませんから今回の趣旨に反します。残念ですが「さらば宇宙戦艦ヤマト~愛の戦士達~」の究極的な豪華本の出版までに温存しておきましょう。本家のアカデミーが出版した「豪華本」には、当時としては珍しい、シナリオの決定プロセスが事細かに記されていて制作の過程を知るには絶好の教科書となりましたが、肝心な「絵コンテ」についての記述は一切ありません。スケジュールの中にも、シナリオの立ち上がりからラストシーンの重要な打ち合わせが何度もされていることはわかりますが、「絵コンテ」について、いつどこで描かれていたのかさえ触れられていません(完結編は、白壁荘で描かれたのが有名)。意図的だったのかも知れませんが、シナリオと並んで「さらば~」の重要な『生き証人』とも呼べる資料ですからこれを見ずに「さらば~」は語れないと思います。特に「出来上がったシナリオは5時間近くあって」とか「4時間の物語が」といわれていたわけですから(上映時間は、恐らく原稿用紙換算だと思われますが)その全容を知るためには「絵コンテ」の解析が必要です。その重要な「絵コンテ」は、「決定稿」から上がってきたものを書き上げた「第1稿」と、何度かの打ち合わせ後に改訂された「最終稿」が存在しています。「第1稿」は、鉛筆の黒鉛がこぼれ落ちる程の生の原稿で、現在は、切り貼りしたセロテープが経年変化で粘着力を失い、バラバラになってしまうのを防ぐために1ページ1ページ丁寧に補修中です。補修が完了後、公開を予定しています。この「絵コンテ」はスタッフに配布された当時のコピーモノではなく原版です(当時のコピーは、濃淡の表現が苦手で濃い線のみ写し取っていた)。これを1枚1枚スキャンして、最新の印刷技術でプリントしますから、微細で生々しい手書きの世界を堪能できます。シナリオにあって本編でカットされた幻のシーンもたっぷりと含まれています。例えば、テレザート星からの帰路で、ヤマトが瞬間物資移送機を使った駆逐艦からの不意打ちを食らうシーンでは、メインクルーが作戦室で「ワープを重ねれば太陽系に入る前に白色彗星に追いつける」といった立案をしていますが(ひおあきら氏のコミックには掲載)、そのシーンですら更に多くの会話がなされていて緊張感を高めています。ファン必見の一品です。
78,79ページ ユキと古代
2人の出会いや成長を今更、私が語る必要ないと思います。宇宙戦艦ヤマトを見ていた一人一人の胸中に深い想いがりますから。
第一作目の最終回で「だって、古代君が死んじゃう!」とコスモクリーナーDを操作するユキ。「私には神様の姿が見えない」と嗚咽する姿に涙した人もいることでしょう(あ、想いをかいちゃった)。この2人が居て宇宙戦艦ヤマトのストーリーは成り立っていたのです。
「ヤマトよ永遠に」でのアルフォン少尉との邂逅。シャッターが閉まり退路を断たれた雪の前にゆっくりと姿を現すアルフォン少尉。命を助けてくれた恩人でありながら彼を撃たねばならない辛い決断。そんな極限状態へと追いやられる瞬間の一枚がこれです。
実にいい表情をしています。
もう一枚は、涙ながらに真田と斉藤を残して立ち去る古代。このシーンでは涙が止まらずスクリーンがよく見えなかったのではないでしょうか(デスラー艦内へと進むシーンと背景画がおなじですが許してください)。
当時の制作余談ですが、動力炉へ渡る橋を挟んで、真田が古代に「行け!行くんだ!」と叫び全ての音がミュートされるシーン。川島和子さんのスキャットが入り観客の私達は涙がとめどなくこぼれてくる。「さらば」の忘れられぬ名シーンですが、ここでスキャットを入れようと提案したのは音響監督の田代敦己氏だったそうです。いつも適材適所、いい音楽をつけてくださいました。
そして、復活篇のスペシャルアドバイザーという肩書きで、やはり音響監督的な立場で参加されていましたが、最後まで西崎氏に意見を言える貴重なスタッフでした。クラシック音楽を使うこと、戦闘シーンでの音楽の使い方を最後まで気にされ自分の意見をぶつけていた光景がいまでも思い起こされます。その西崎氏は田代氏から音楽をつけるタイミングや選曲を学んだんだと話していました。ヤマトは、ドラマ、映像、音楽。この3つが織りなすハーモニーによって出来ている作品ですから氏のは存在感は決して小さなものではありませんでした。
1枚の絵を見て、音楽が浮かび、セリフが浮かぶのは、宇宙戦艦ヤマトならではです。
77ページ クイーンオブアクエリアス C type
この絵の描かれた紙は、ページをよく見ていただけるとわかりますが、エンボスのかかったちょっとざらついた画用紙です。この絵はカメラでなくスキャナーで読みとりました。近年、PCを取り巻くハードウェアの環境は高性能且つ低価格化が進んでいて、ちょっと前は数十万円していたハードウェアが、数万円台まで下がっていることも珍しくありません。今回の書籍で使用したセル画や背景画の一部はスキャナーを使って読みとっていますが、水分を吸ってデコボコになっている絵も、ピントが狂うことはありません。試しに立体物をスキャンしてみましたが(顔とか手とかフィギュアとか)かなり正確に読み込んでいます。作業用のPCですら、マルチコアでCPUは2つ装備され、それぞれがハイパースレッディングテクノロジーを採用していますから実質4つのCPUが機能しているかなり贅沢な作りです(といっても今では入門機ですね)。メモリーも4Gほど積んでOSもつけて、ブルーレイの記録までできて5万円を切っているのですから、凄いものです。
最新のハードで、30年前の作品を取り扱うというのはなんとも不思議なものです。
さて、本題に戻りますが、このアクエリアスは解説の部分で「チラシに使われているものは裏焼き」と記していますが、他の資料を見ても裏焼きで使われているものが殆どでした。そして、このクイーンオブアクエリアスも、ご多分に漏れず似たようなコンセプト(淡い水彩画のようなブルー)で描かれた作品が何点かあります。微妙に表情が違っていて、一番、優しそうな表情をしているイラストを採用しました。「愛とは決して甘美なものではなく」と語りながら惑星を水没させてしまいます(ディンギル星のように大爆発してしまう星もある)。綺麗なバラには棘があるということですね。
氷のように冷たい表情の中にも、強さと優しさの同居するこの絵が一番ステキです。
SOUND ALMANAC「1974-I 宇宙戦艦ヤマト BGM集」
コロムビアが SOUND ALMANAC シリーズ 第1期として発売する「1974-I 宇宙戦艦ヤマト BGM集」COCX-37381 ¥2,625(税込)のジャケット(両面)にて 「PROUD OF YAMATO」 から 2枚の原画が使用されています。
「PROUD OF YAMATO」 001-003ページ「赤い地表」、001-004ページ「艦底を見上げる」です。
「PROUD OF YAMATO」同様に原版から直接撮影した画像を使っていますから鮮明です。
このような形で、ファンの目に触れることは、本当にうれしいことです。
今後も、このSOUND ALMANACには協力をしていきますので、またお目にかかれると思います。
「PROUD OF YAMATO」同様「SOUND ALMANAC」シリーズもよろしくお願い致します。
76ページ 地球
完結編用に描かれた地球は、かなりありました。カット毎に描き変えていましたし、使用するシーン毎に(同じ絵で)複数の大きさも用意されていました(大きさを変える方法として一つの地球を写真に撮り、大きさを変えて現像し、丸く切り抜いてセルに貼り付けています)。この地球だけでも3枚ほど残っています。この地球は、地球に伸びる水柱を断ち切るために踏ん張るヤマトの背後に何度か出てきます。しかも、角度が毎回違っているという芸の細かさです。
74,75ページ 自沈するヤマト2種類
この2枚は、ポスターにパンフレット、各種書籍にと大活躍した完結編のイメージカットです。当時露出の多かったイラストボードは極力使用を避けましたが、この2枚だけは正に「完結編」の象徴的です。ヤマトが終わるんだ!という意識の中でどうしても必要な2枚でした。
これも勝負の1枚です。
73ページ 第一艦橋
あまりに端正に丁寧に全面が描かれているのでイメージボードかと考えていました。が、やはり「劇場版クォリティー」ですね。実際には中央から左半分のみを使っていました。ヤマトが2度目の出港を果たすときに洋上を航行する場面です。荒波が甲板を洗い、ヤマトのマストすら隠れてしまう大波が押し寄せる。大海原を進むヤマト。いいシーンでした。
余談ながら、復活篇の制作時には第一艦橋も3Dデータで作成されていて、どのアングルからでも作画の指示にあわせて出力されていました。実際に使用する際には、手書き(PCにグラフィックソフトで描き込む)で1カットずつ描かれていました。そのような描き方ができる現代なら、パースは前方から俯瞰した感じで、高さはこれくらいでと指示をして3Dソフトで出力させれば、オペレーターはマウスをクリックするだけですが(それなりに苦労はしますが)、完結編当時は、レイアウトを描いて、原画を描いて、それを紙に写して色を付けるという気の遠くなる作業を繰り返していました。
設定資料を見ながら全体を描いて、メーターなどの配置を整えて(手書きなのでパースが狂うとおかしな絵になってしまうから大変です)、かなりの数のメーターに色を付けていくことになります。
プロのお仕事ですから、それなりにコツというものがあるのでしょうが、画用紙に描いた鉛筆の下絵は、色をつけていくと消えていきます。(絵を斜めから見ると強く描かれた鉛筆の線は跡になっていて見ることができますが)つまりパネルに色を塗ってしまうとメーターをもう一度描かなくてはならなくなるのです。
直線で構成されたメーター類は(消失点とかパースをつける方法があって)定規で描いていくのでゆがむことはありませんが、斜めになった円で構成されたメーター類は、変にパースをつけると浮いて見えたり、潜っているように見えたりで難しいのです(その点、3DCGはPCが計算して変形させるのでパースが破綻することはありません)。
この第一艦橋の質感もさることながら、全体のパースやメーターの正確な描き込みにも注目していただければこの絵の良さがわかるでしょう。