この本を編纂中に宇宙戦艦ヤマトの製作に尽力された石黒登氏の訃報が届きました。
氏の持てるパワーを最大限に発揮された宇宙戦艦ヤマトの中で、一番印象に残っているシーンを選出しようとしたとき、偶然開けたフィルム缶の中から、このシーンを発見しました。オプチカル合成用のフィルムです。
ロマンアルバムエクセレント54・パーフェクトマニュアル2 P.222から抜粋します。
『第3話では、ガミラスの放った超大型ミサイルの爆発をバックにヤマトが発進するところで、スキップ撮影というオプチカル合成を使ったのですが、この合成、ワンカット撮るのにまる1日かかってしまい、プロデューサーはかんかん。危うくクビになるところでした(笑)。このように、本格的な物を狙おうとしてかなり苦労しましたが、不思議とスタッフの情熱は続きましたね。』
私も、石黒昇氏との打ち合わせに何度か参加させて頂きましたが、開口一番このシーンの話をされていたのを思い出します。「あのシーンに大金をかけたとクビにしそうになったくせに、宣伝ではさんざん使ってさ」と話されていました。
現存する制作資料の中に書かれている氏の細かい指示を読む度に、そのこだわりと、ひたむきさが伝わってきます。
心よりご冥福をお祈りいたします。
「Proud of YAMATO」カテゴリーアーカイブ
100ページ ヤマト発進!
映画「さらば宇宙戦艦ヤマト~愛の戦士たち~」のラストでは、悲しい結末が待っていましたが、ヤマトが海面を割って凛々しく出撃していく姿に希望や勇気を得た人も多いかと思います。
新しい旅立ちへ向けて希望や勇気を持って本書を閉じて欲しいと願い、この【絵】を最後に配置しました。まさに YAMATO, sail for tomorrow! だと考えています。
ヤマトの発進は、常に人類、つまり私たちの希望なのです。
最後に、宇宙戦艦ヤマトの物語を作られたスタッフの方々に、特に本書に収録させて頂きました『絵』を描かれた設定、原画、美術を担当されたスタッフの方々に感謝の意を表します。
ありがとうございました。
私は「宇宙戦艦ヤマト」に出会えて本当に良かったと思っています。
97、98,99ページ 古代とユキ
宇宙戦艦ヤマトは、古代とユキの「愛」の物語でもありました。この二人については、宇宙戦艦ヤマトをご覧になった方々の数だけ思い入れがあると思います。これは、最高の3枚だと思います。
そして、私は、この二人が永遠に結ばれるよう願っています。
96ページ 古代とユキの再会
映画「ヤマトよ永遠に」から
お互いの生存を諦めなくてはならない状況下での再会。遠慮がちに「古代君…?」と問うユキの私情を排しつつも確かめずにはいられない情感が、見ている私たちにも伝わってきました。
メインパネルに大きく映るユキと見上げる古代の大きさの比が、非常事態の中で起こっていることを如実に物語っています。やはり「永遠に」を象徴する1枚です。他に、聖総統スカルダートの必死に起爆装置を押す絵も候補に挙げたのですが、1枚絵で見て楽しいとは思えませんでしたので、次の機会に。
95ページ 新型波動エンジン
94年製作発表 復活篇より
それまでの制作、デザインスタッフとは違ったメンバーによって始動した「新・宇宙戦艦ヤマト 復活篇」。『ヤマト・我が心の不滅の艦(ふね)-宇宙戦艦ヤマト胎動篇-』(94年2月21日発売)で公開された新しいヤマトの内部構造の紹介で使われました。従来の波動エンジンとは明らかに違った仕上がりに「新しいヤマト」を予感させてくれました。完結編までとは違った詳細な描き込みに胸を躍らせてビデオをみました。
94ページ 艦載機射出口
完結編から
この絵を見たときには、いやに出口が狭く感じられたので、ひょっとしたらイメージボードかなと思いましたが、カットナンバーも書かれていたので実際に本編を確認したところ、この狭い隙間からコスモタイガーが発進していきました。完結編の艦内は、堅そうな青を含んだ黒(群青色)なので他作品とは区別が付けやすいです。沖田艦長を残し全員が退艦するシーンで使われています。
93ページ 第一主砲内部
完結編から
「ヤマト一敗!地に伏す」屈辱的な大敗を喫しながらも自動航行で地球へ帰還する艦内を映した時に使われました。砲術科員達が倒れていました。他にも何枚か砲塔内部の絵があります。色使いとレイアウトのわかりやすいものをセレクトしました。
今回は、砲塔内部の質感とアングルをお楽しみください。見るからに堅牢で、狙った獲物は逃がさない的な精緻さが感じられます。
92ページ 第三艦橋
映画「ヤマトよ永遠に」から
これは、もう限界に挑戦したとしかいいようのない芸術作品です。
微妙な上下対称のデザインの徹底的な描き込みと塗り込みには脱帽させられます。しかも、イメージボードとして描かれてはいます。本編では使われることがありません。
本編では、古代達が足を踏み込み、パッと見回しておしまいという儚さです。
是非とも原寸大で見て頂きたい作品です。
豪華本231ページ SY-3-22として紹介されていますが、色味は本書の方が忠実に感じます。
90、91ページ 相原を捜す古代と会うユキ
TV「宇宙戦艦ヤマト」から
レイアウトの段階では、島も一緒に描かれていましたが、おそらくフレームの関係で古代のみの作画となったと思われます。実際に画面で見ても古代しか見えていません。
第19話「宇宙の望郷!!母の涙は我が涙」というタイトルにしても、エピソードにしてもほかのエピソードとは違った雰囲気(文学的な)を持っていて個人的に大好きです。
「Proud of YAMATO」シリーズ(恒例)のサービスカットとなります。
もともとネグリジェが行方不明のセットです。描いてあるようで描いてない胸のラインが問題になりそうでしたので(未成年者が閲覧する可能性もあったので)、いわゆる「ギリギリの選択」で「黒墨」を入れました。(ただし「さらば」のテレサはR指定もない劇場公開版だったのでガンガンいけそうです)
第1作目のセル画や背景画は当時からの熱心なファンが所有されているので、もしもネグリジェだけを「お宝」としてお持ちの方は連絡をお願いいたします。一度、元の鞘に収めてみませんか?
89ページ スターシャ
このスターシャを見たときの衝撃は未だに忘れられません。モノトーンだと思われていた宇宙が水彩画で滲んでいてホントにロマンチック!スターシャがちょっと艶っぽい!。ジャケット自体が芸術的な出来上がり。「20世紀の白鳥の湖」なんて書いてあるし!ライナーノートは全然アニメしてなくて大人の雰囲気。このライナーノートは、黒だからポテトチップスを食べた手で触ると油がついて光ってしまうし(「Proud of YAMATO Visual Book」のカバーも指紋がベタベタ付きます!)。
私は、このレコードを5枚買いました。レコードを壁に掛けるための専用のフレームを買ってきて部屋に飾っておいたのを思い出します。レコードは、聞きすぎると溝がすり減ってしまいますから、遠い将来もいい音で聞けるようにと大切に保管していました。それから10年後にCDという規格が生まれましたが、やはりジャケットが小さいためか、初めてこのスターシャを見たときのような興奮は覚えませんでした。(レコードは、いまでも聞いています。針を降ろすまでの瞬間が何事にも代え難い行為です。冬は、カートリッジの可動部分が少々硬くなるので、気持ち針圧を上げたりするのもちょっとしたテクです)
「しーきゅーななまるまるいち」「しーえすななまるいちいち」とレコード番号を覚えたのも、この2枚が初めてです。
このスターシャ+ヤマトのジャケットに胸がキュンとした人は多いのではないかと思います。
今回は、描いてある隅から隅まで全部を見ることが出来ると思います。「生きているといいことがあるな」と思わせる至高の一枚だと思います。
ヤマトが描かれていないのも驚きですよね。
余談ながら、ヤマトネタをもう一つ。「永遠に」でポスターとなった、ほぼ正面から見たヤマトですが、セルが2枚になっています。めくってみると、尾翼や主翼、その他ハリネズミのようにとがっている部分が描かれていなくて、なんとも寂しいヤマトになっています。後から足してるんですね。