この本を編纂中に宇宙戦艦ヤマトの製作に尽力された石黒登氏の訃報が届きました。
氏の持てるパワーを最大限に発揮された宇宙戦艦ヤマトの中で、一番印象に残っているシーンを選出しようとしたとき、偶然開けたフィルム缶の中から、このシーンを発見しました。オプチカル合成用のフィルムです。
ロマンアルバムエクセレント54・パーフェクトマニュアル2 P.222から抜粋します。
『第3話では、ガミラスの放った超大型ミサイルの爆発をバックにヤマトが発進するところで、スキップ撮影というオプチカル合成を使ったのですが、この合成、ワンカット撮るのにまる1日かかってしまい、プロデューサーはかんかん。危うくクビになるところでした(笑)。このように、本格的な物を狙おうとしてかなり苦労しましたが、不思議とスタッフの情熱は続きましたね。』
私も、石黒昇氏との打ち合わせに何度か参加させて頂きましたが、開口一番このシーンの話をされていたのを思い出します。「あのシーンに大金をかけたとクビにしそうになったくせに、宣伝ではさんざん使ってさ」と話されていました。
現存する制作資料の中に書かれている氏の細かい指示を読む度に、そのこだわりと、ひたむきさが伝わってきます。
心よりご冥福をお祈りいたします。