8月。諭す

古代は、語ります。
「生きぬくことは時として死を選ぶより辛いこともある。だが命ある限り生きて生きて生きぬこともまた人間の道じゃないのか」熱い古代の想い。信頼できる部下として、苦楽をともにした戦友として説得を試みる古代。
 残るのは自分一人でいい。
 この台詞を読むと、富山氏の声が自然と聞こえてきます。
 ビデオやレーザーディスク、DVDを何度見直したことでしょうか。
 島、南部、相原、太田の立ち位置までがしっかり記憶されています。
 「さらば~」では、外すことのできない印象深い場面で、ヤマトファンなら永遠に忘れられない場面ではないかと思います。
 このシーンと表紙の見上げる艦橋の2枚からこのカレンダーの企画はスタートしました。カレンダーのレイアウト(デザインを決めるときのアイディアスケッチ)は、この絵をはめ込んで作りました。
 下段に配置してある絵がこの月にないのは、この絵をトリミングすることなく使いたかったからです。

21世紀の宇宙戦艦ヤマト

 21世紀のと書いたけれど、「宇宙戦艦ヤマト2199」のことではなく20世紀(と書くとたいそう古そうだけど、つい最近のこと)に終わった完結編までの話し。
 映画やポスターを作るための素材がたくさんあって、将来のために全てデジタル化している。デジタル化というと格好いいけど、地味にカメラを使ったりスキャナーを使ったりと手を変え品を変えで保存(HDD,DVD、BR)に取り組んでいる。

 TV「宇宙戦艦ヤマト2」や「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」で使い回された青い地球があって(どの地球かといえば、新立ちのエンディングでスタッフロールが上がってくるときの背景に置かれている地球のこと)この地球が直径15cm程度で描かれているのだが、ちょっと遊び心でフォトショップを通して青く光っているようにレイヤースタイルで、光彩を付けてみた。これが見違えるように透き通った地球=宝石のように輝いて見えたので、気をよくして、後方パースのヤマトを上にのせてみた。
青い地球に生還するヤマトができあがった。
漆黒の宇宙空間と相まって神々しいまでに地球とヤマトが輝いている。サファイアのように美しいブルー(手前味噌入り)
少しのエフェクトを加えることで、当時のヤマトが「現代」のモニターの中に21世紀のヤマトとして、出現するとは正直驚いた。
全く見劣りしないのだ。
今ここで、その絵をアップしたいのだが、著作権によって保護されているので残念。

21世紀になって、74年に見た古代や雪の、あの姿、あの声でもう一度活躍する姿を見てみたいと思った。
せっかくデジタル技術が発達したんだから、やれそうな気がする。
(Zガンダムの時は、少し早すぎたようだ)
それを望んでいたのは、私だけではなかったのだが。

7月。雪の見る光景

7月。雪の見る光景
サブの絵と下段の絵は、都市帝国戦がメインとなっています。なぜデスラー戦の雪をここに配置したかといえば、デスラー戦以後の雪は、痛みに耐える、力ない、作り笑顔の絵しかないのです(ここまでの微妙な表情の描き分けに敬服いたします!)。佐渡先生が緩和ケアをしなかったのかできなかったのかはわかりませんが、術後で痛みに耐えているシーン、血の気の引いた表情で第一艦橋にくるシーン、被弾の衝撃で転がり落ちるシーン、古代の手を握り息絶え絶えに励ますシーン等々でとてもカレンダーにはできませんでした。カレンダーとは少なくともそれを見ることによって明るい気持ち、落ち着いた気持ちになれるものでなくてはなりません。そこで凛と振る舞う雪のベストショットをここに配置したわけです。
「私が行かなくて誰が負傷者の~」という台詞に込められた秘めた思い。グッと来るものがあります。
元々古代のプランの中には雪の乗艦はなく、負傷者が出た場合は佐渡先生に任せるしか頭になかったようです。行き当たりばったりですね。私の持論は、ヤマトの次期艦長は雪です。明確に先を見通す力を持ち、的確な分析能力に裏付けされた実行力。多くのクルーをまとめる力を持ち合わせているのは、雪だけです。パート1からの数々のエピソードを思い返してみれば、思い当たる節が山ほどあることでしょう。後先考えずに飛び出す古代には、一抹の不安を覚えます。
サブは、波動砲命中を喜ぶ南部と相原です。実際の映像では透過光が右上から入っていました。お二人とも本当にうれしそうです。そして生きて帰ったのもこのお二人です。
下段のしたり顔のズォーダー大帝からは、台詞が浮かんできますね。サーベラーについては、ごめんなさい。

6月。最高のデスラー総統に逢う

6月デスラー総統登場。
ヤマトへの復讐に燃えるデスラー総統。最新鋭の駆逐艦でリベンジを果たすべく奇襲攻撃を仕掛けるが!意外な結末を迎える悲運の武将。この物語を機にファンになった方も多いと思います。
デスラーの凛とした佇まい、それとは逆に千々に切れたマントが勝敗の行方を物語り、哀愁を誘います。このとき既に自身の行く末を悟っていたのでしょうか。ワンカットから微妙な感情が伝わってくるいい絵だと思います。是非、この6月を手に取り何度も見返してください。デスラーへの思いで胸が熱くなります。
サブ絵のタラン将軍は、後ろに映るヤマトと相まって絶妙な構図となっています。デスラー総統は露出が多いので、タラン将軍をメインに進めていましたが(実はビーメラ星の女王もメインで考えていた)、決してファンは多くはないがコアなファンのみが存在するキャラクターの絵を一ヵ月間見ているのはどうかと思いとどまりました。要望があればタラン将軍の1枚絵でも勝負いたします。ヤマトのカレンダーは、アカデミーの時代から大きさや絵の趣向を変えながら発売されているので、新規に制作するのには苦労させられます。
余談ながら、下段の佐渡先生とアナライザーの組み合わせが違っていました。

5月。初夏の爽やかさをテレサに

5月は、掟破りのテレサのアップです。なにが掟破りかといえば、テレサの姿です。アニメ史上登場シーンが全て全裸はなかったと記憶しています。全裸ではあるけれど全くイヤらしさを感じさせない絵に驚きました。宇宙の危機を伝えるテレサの美しさに息をのみました。構図も見事でした。あれから34年経って更に驚いたことがありました。それは、劇場用フィルムをスキャンしたときです。古代、真田、斉藤の足を見ればわかりますが、フレームからはみ出しスクリーンに映らない部分まで(下端の部分には色が塗られていない!)フィルムに収録されていたのです。DVDなりBDなりでこのシーンを見て頂ければ、映っていないことがわかると思います。10月のアクエリアスのシーンも同様に画面(フレーム)に入らない部分までフィルムに収まっています!
 是非とも5月の一番下を見てください(印刷時の裁ち切りで少し切れてますが)。
 透過光の使い方と、構図と人物描写のうまさ、そしてこの映画の象徴的なシーンとして、このカットをメインとして他の月よりも大きく配置しました。「さらば~」の中でも屈指の名画です。

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4月です。新しい年度の始まりです。

4月は、「さらば~」からのセレクトです。
4月は、新しい学年がスタートし、また、新しく社会人となる方もいらっしゃいます。新規にスタートするイメージで絵をセレクトしました。ゴォーっと大量の水が注ぎ込み第一艦橋まで水位が上がってくる発進のプロセスで、緊張感が伝わってくるシーンです。古代たちは、宇宙の危機のために自らの地位を捨てて旅立ちます。見事なシチュエーションです。下段右端には、さりげなく未公開カットを追加しました。南部が古代に発進準備の報告をするシーンです。ひおあきら氏のコミックには描かれていましたね。
これらのシーンは、「Proud of YAMATO Visula BOOK BL」にフルカラーで絵コンテが収録されていますので、是非ともご確認ください。(なんで絵コンテがフルカラー?と思われる方もいるかと思います。絵コンテは黄色い絵コンテ用紙に鉛筆で描かれていますから、微妙なかき分けを再現するにはフルカラーが最適なのです)

3月です。

3月は、宇宙戦艦ヤマト全シリーズの中でも屈指の名場面=古代のモノローグです。
このページで使われている絵が24話以降からのセレクトになったのは(沖田艦長除く)、大団円へ向けての印象深いシーンを選んだ故です。雪の亡骸に思いの丈を打ち明ける古代の深いの想い。初めて見たときに、切ないBGMとスポットライトの階段を昇っていくという演出に思わず目頭が熱くなりました。16mmフィルムと35mmフィルム、アーカイブ用のフィルムから一番見栄えのするフィルム(※1)を選りすぐりました。
 ※1 今回のカレンダーでは、様々なマテリアルを使用しています。原画からの直接撮影もクリアで見応えがあるのですが、フィルムの粒状感が醸し出す雰囲気も大切にしたかったのでシーンに合わせてチョイスしています。特に「永遠に」以降は、透過光や特殊な撮影がされていてスクリーンで見た映像が印象に残っていますので、劇場用フィルムからも使用しています。
 この古代と雪のシーンは、女性ファンに特に人気がありました。サブの絵は、劇場版用に描かれたイスカンダル星から主翼を広げ発進する宇宙戦艦ヤマトです。このアングルからのヤマトは力強さがあって気に入っています。横からや後ろからのパースは多いのですが、正面上からの絵は少なく貴重です。
 下段中央の古代と雪の絵は、以前カレンダーとして使用されたものです。トリミングする前は左右にかなり広い絵です。

 3月は、年度末ということもあり、いったん物語に区切りがつきます。

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現在、制作中です。

「Proud of YAMATO Visual BOOK」の第2弾「Proud of YAMATO Visual BOOK BL」制作中!

第2弾は、素材や製作資料を中心に紹介していきます。

宇宙戦艦ヤマトシリーズのポスター素材や制作中の原版や、映画「さらば宇宙戦艦ヤマト~愛の戦士たち~」の絵コンテ原版等を収録。今まで表に出ることのなかった貴重な資料を収録しています。

 

ヤマト会議

 

around_the_world西﨑義展氏が製作した作品の「製作資料」が遺贈され、管理しています。

  • 資料を編纂し発行しています。書籍は、こちらからご購入頂けます。
  • 不定期に、作品を愛するファンのために製作資料の公開をしています。
  • 西﨑義展氏が作られた作品を多くの方々に知って頂くための活動を行っています。

※2014年1月 資料の出版が不可能となりました。

「製作資料」を管理するために OFFICE LEGACY が作られました。

  •  西﨑義展の所有していた製作資料=大いなる遺産を意味するLEGACYから命名されました。

 

『パッセンジャー 過ぎ去りし日々』

バイクレーサーの兄(三田村邦彦)とロックシンガーの妹(本田美奈子)が、お互いの夢を実現させるストーリー。当時人気絶頂だった本田美奈子は、「最初で最後」の映画主演となった。クライマックスのレースシーンとライブ映像が話題となった。
原作、製作総指揮 西崎義展
監督 和泉聖治
音楽 羽田健太郎、天野正道