34ページ 主砲付近から艦橋へ

初出は、豪華本TV「宇宙戦艦ヤマト」3冊セットの3巻目。扉についているポスターでしたが、古代とユキの2人がセル画で乗っていました。元々は「さらば~」ように書かれたと思うのですが、豪華本の発行が遅れに遅れたので、間に合ってしまったという感じでしょうか。豪華本用に描いたら、遅れたので「さらば~」に間に合ったということなのでしょうか。詳細は不明ですが、以後は「さらば~」関係の書籍でよく見たヤマトです。
 このイラストもご多分に漏れずトリミングして使用されていたので、第1主砲や第2主砲の砲身が切れているとは思いもしませんでした。

32,33ページ 第一艦橋にて祝福を受ける2人

祝福を受ける2人
 涙でスクリーンが滲んでいましたね。
 ブロンズ色になって現れる戦士たち。
 宇宙戦艦ヤマトは新撰組の影響を受けている作品だともいわれています。
 司馬遼太郎氏作「燃えよ険」(下)にて、土方歳三が五稜郭にて、いよいよ最後の時と覚悟を決めたとき、討ち死にしていった仲間が次々と現れては消えていきます。そんなイメージだったかも知れません。
 また、舛田利雄監督のインタビューを中心とした書籍「映画監督・舛田利雄~アクション映画の巨星 舛田利雄のすべて~」には、古代の最後のセリフについて書かれています。ヤマトについてはなんでも知りたい!という方には一読されることをお勧めしますが、作品の中の世界観を壊したくない方は、お勧めできません。私自身、知らない方が良かったかな?と思うときがありますから。
 いずれにせよ、映画のエンディングとして印象深い2枚です。
 余談ですが、001-033 とページ番号がふってある場所の余白を見ていただきたいのですが、案外、一気に筆を走らせるのがわかりますよね。さすがプロですね。
 

30,31ページ 動力炉 2種<訂正>

動力炉
古代達が動力炉を発見するシーンで使用された背景。恐らくイラストボード(原図)としても使用されたのではないかと思います。手にしてみるとかなり大きく引き込まれそうです。

動力炉を下から見上げる<訂正>
古代達が動力炉入り口を目指すときに「橋」を渡ったシーンでも同じように下から見上げたレイアウトがありましたがこれは全くの別物です。

以下訂正と追加です。
上映時間2:06:21(時間は初期DVDによる)にこの背景画が使用されているカットがあります。実際に使用されているカットでは、真田と斉藤が渡りきる橋が描かれていました。解説を執筆している段階では「橋」が見つからなかったので別ものと判断しました。が、よくよくみると橋を追加すれば実際に使用されているカットになりますので、未使用は訂正させていただきます。(私の言い訳:橋があるなしで見え方が全然違ってしまいました。すみません)

28,29ページ 都市帝国 2種

遺贈された美術ボードであっても、他書籍で多数露出されているものは、極力避けるように選別しました。
都市帝国もかなりの数がプリントされています。ですから、あえてロードショー別冊に収録されたものを選びました。
ただ、当時、ガスの描かれているセル画は健在でしたが、折れてしまっています。

29ページ目の都市帝国上部は、古代がヤマトに帰還してから砲撃を加えるシーンで使われています。
チューブカー(?)らしきものが(透過光で表現され)走り回り、手前には崩れゆくビル群がセル画で描かれていました。その時、ビル群から無数の光が輝いているのですが、この背景画自体に穴があけられていて、そこから光を当てていたようです。その穴をお見せできないのが残念ですが、いつかお見せできるように「都市帝国の透過光用の穴を展示する機会」を作りたいと思います。

26、27ページ テレサの肖像と地底湖

松本零士氏渾身の一枚。
宇宙の危機を伝える女神。反物質の身体をもつテレサの神秘的なまでの美しさを現している1枚。
まつげのハイライトまで丁寧に描き込まれている。そして、ここまで広く背景が描かれていることに驚きます。「さらば~」という映像作品の中で、テレサの存在をいかに表現するかが成功の可否を握っていたように思います。他の方の女性像ではここまで作品を神格化できなかったのではないかと思うと、松本氏の功績は大きさは測り知れませんし、スタッフとして参加していただいた采配には感服いたします。
このテレサの肖像には、神々しいまでの美しさがあります。
ステキな1枚です。

地底湖のイメージボード。
地底に湖があり、そこにテレサが幽閉されている。「さらば~」には驚きのギミックが多数用意されていましたが、これもその一つ。
幽閉といえば地下牢のイメージですが、中空に幽閉されているのですからこの発想も秀逸です。

25ページ ワープ中の第一艦橋

ワープ中の第一艦橋です。
ワープ中だと世界がゆがむようです。そして、理由はわかりませんが服が脱げるようです。「さらば~」でユキのシルエットが白く光ったときに「もしや?」と想像した人はいませんでしたか?
今回のコンテマンは、安彦氏です。富野氏ではありません。そこが違うのかも知れません。よく考えたら、その後「機動戦士ガンダム」で一世を風靡するお二人ですね。ワープシーンでは縁があります。
絵を見て頂くと判りますが、青の中に微妙な赤が混じっていますね。美しい色合いです。そして、この絵の一番残念なところは、中央に古代君が座り、そこから左へ向かってPANしてしまうことです。古代君の右側もしっかりかいてあるのにもったいないです。
カットとしては成立しなかった右側ですが、是非ともご覧ください。しっかりとメーター類も描き込んでありますから。

24ページ 第一艦橋

言わずと知れた第一艦橋です。
3次元を表すためにレーダーが2つになったそうです。通称オッパイレーダー。
そういえば七色星団の時にも描きましたが、七色パンティーにしても、オッパイレーダーにしても、妙にエッチです。そういうエロイ感性の集団が作った作った作品なんでしょうか?
少々幻滅です。
そういえば、90ページに掲載されているユキも怪しいですね。
あ、第一艦橋です。
広さ的には、第1作目よりも広さを感じます。一番広いのは「永遠に」ですよね。本物の戦艦大和は、四畳半ほどしかないということですから、かなり広くなりましたよね。
天井には巨大なビデオパネルがあります。余談ですが、2009年に復活編が公開されました。2007年から制作を始めたのですが、ヤマトスタジオ(スタジオ雲雀の7階)に入ったときに、画像チェック用にと(色味などではなく動きを確認するため)52インチのアクオスを購入しました。当時は、50万円を切るのが精一杯でしたが(1インチ1万円!)、あれから4年近くたった現在(後々に読み返すこと考えて2012年の5月とかいておきましょう)では、家電量販店で在庫限り!という52インチは20万円を余裕で切っています。しかも3D対応だったりしますし、シャープならクアトロンだったりします。すごい下落幅ですね。で、第一艦橋の天井に取り付けられているビデオパネルは、何インチなんでしょうね。300インチくらいはありそうですね。ヤマトは戦艦ですから、戦闘中や被弾したときクルーを傷つけてはいけないので安全性を考慮して、紙のように薄くて軽く壊れにくい有機ELあたりを使っているのでしょうか。Youtubeとか見られるんでしょうか?Yahooなんかで検索とかできるんでしょうか?
Yahooで相原君が「地球 状況」とか検索しちゃったんでしょうか?
あ、第一艦橋です。
今回、撮影に当たり、ビデオスクリーンと、そのほかの窓には何も入れずに「素」のまま撮影しました。現状を見て貰うのが優先です。ですから、セロテープの痕なんかも消すことは可能なんですが、あえてそのまま(決して手抜きではありません!)にしてあります。今度、機会があったら「宇宙」とか入れて撮影してみますね。

22,23ページ ドックに眠るヤマト

ちょっと情けなく見えるヤマトですが、制作の裏側はこんな感じなんですね。
せっかくバラバラの状態で保存されていたので、そのまま掲載することにしました。艦底部と右側のデッキ部が描かれたページを切り取って、写真の通りに並べてみてください。そして映画のように動かして楽しんでみてください。そして画面に写らない部分まで描かれている余白を楽しんでください。スタッフの苦労には頭が下がります。
ちなみに、サンプルとして載せた写真の上は、35mmフィルムからです。すごく青いですね。
下の写真は、古代のセルを載せて撮影したものです。
6ページ、7ページでお判りいただけたと思いますが、セル画が乗ると色味が変わってしまいます。
私の手元には、本当にグレーで描かれたヤマトがあります。

20,21ページ アンドロメダ銀河

映画「さらば宇宙戦艦ヤマト~愛の戦士たち~」の冒頭で姿を見せたアンドロメダ星雲。
20ページ目の全体像は、スクリーンで見た物と全く同じように見えましたが、21ページのアップは正直わかりませんでした。
色合いが全然違いますね。
ただし、ヒントとなるのは「パーフェクトマニュアル」の「さらば~」のページです。いろいろとコラージュされていてよくは見えませんが、これだと判ります。ただし、「パーフェクトマニュアル」は35mmフィルムからですから、こちらより解像度が劣ります。
(私は35mmフィルムからスキャンした、ざらざら感のある画像が好きなんですが)
いずれにせよ、「さらば~」の冒頭の2カットをお見せできたのがうれしいです。
余談ですが、「さらば~」に関しては、今回未公開カットがいくつかあって、ちょっと興奮しますよね。実は、かなり出し惜しみ(?)しまして、まだまだ未公開カットは存在しています。
それと、1000ページを超す膨大な量の絵コンテには、フィルムにすらなかったカットが多数あって、非常に興味をそそられます。
そこから、映画として鑑賞に堪えられる時間に短縮したもの(それでも、まだまだカットを必要とした)が、「ひおあきら」さんのコミックとなっています。
書いたついでなので、もっと書かせて頂きますが、「ひおあきら」版のラストでヤマトがものすごい爆発をしていますよね。映画では、遙か彼方での爆発でした。「ひおあきら」さんが大袈裟に描いたなぁと当時は思っていたのですが、絵コンテと、未発表フィルムでその謎が解けました。
倉庫の片隅に眠っていた未公開フィルムには、エンディングが他にもあって、画面いっぱいに爆発が広がるシーンもありました。
(最初の)絵コンテでは、爆発は宇宙全体に広がるほどのすさまじい物でした。この辺は、コバルトシリーズの小説版にも反映されています。
ですから、「ひおあきら」さんのコミックにもコンテを忠実に再現して描かれているのです。
それ以外のシーンですと、発進までのプロセスの中に、フィルムにはなったけど実際には使用されなかったシーンがあります。
それは、またこの次に書きましょう。