貴重な資料の一部(1)

昭和49年に放映された「宇宙戦艦ヤマト」のオープニング絵コンテの一部をお見せ致します。

権利の関係上、宇宙戦艦ヤマトそのものが描かれたところはお見せ出来ません。あしからずご了承ください。

右が松本零士氏が描かれたコンテ。左が決定稿。右が松本零士氏の描かれたOP用絵コンテで、円形のレーダーが反応して、宇宙戦艦ヤマトが登場するように描かれています。何種類かの候補が描かれています。左側は決定稿です。決定稿も同じようにレーダーに反応してから宇宙戦艦ヤマトが登場します。つまり松本案、決定稿のどちらを見ても、赤茶けた土の中から姿を現すシーンは描かれていません。

そして、松本零士氏のコンテを何枚かめくっていくと驚愕の事実が!なんと!1枚だけ煙草の灰で「焦げ穴」が出来ているではありませんか!あれほどスタジオは禁煙だと言ったのに!という感じで、このコンテからは今でも煙草の香りがします。

あ、たばこだ!

余談ですが、第1作目、「さらば」の絵コンテ用紙は黄色です。皆さんが、書籍や映像特典として見ている絵コンテはコピーなので白黒になっています(当時のコピー機の性能から鉛筆の線はボールペンのようになってしまっています)。鉛筆で描かれたコンテには、クリエイターの息づかいが感じられます。

これほど歴史的に貴重な資料を、皆さんにお見せ出来ないこと、本当に悔しく思います。残念でなりません。たくさんのクリエイターの方達が書き残された貴重な資料が死蔵される事態になることは、世界的なレベルで後進のクリエイターや今後生み出される作品の損失になることは間違いがありません。

たった一人の私利私欲のための判断が及ぼす世界的損失を悔い改めて欲しいと願ってやみません。