12月 希望のある未来へ

朝陽の中へ上昇するヤマト。
映画では、第三艦橋まで映ったところでカットされていますが(絵コンテでも第三艦橋をアップにするように指示)、実際は艦尾までしっかりと描き込まれていました。このアングルからみるヤマトは、雄大です。
新年を迎える12月にあたり、明るい希望のある年になって欲しいという願いを込めて、ヤマトの力強い発進シーンをセレクトしました。
この宇宙戦艦ヤマトカレンダー2013も、とうとうフィナーレを迎えました。最後までご利用頂きまして、ありがとうございます。
1974年から放映が始まった宇宙戦艦ヤマトの物語を順番にご覧頂き、それぞれの作品を思い起こし楽しんで頂ければ、これほどうれしいことはありません。
当カレンダーをお買い上げ頂いた方々にお礼を申し上げます。
また、制作を手伝ってくださった方々に感謝いたします。

最終ページ
2013年に起きる事柄とヤマトの上映(放映)日を記しました。
おおよそ、ここに書いたとおり世界は動いたようです。消費税率引き上げの法案が可決されることは想定外でしたが。
古代と雪が向き合うツーショットは、いろいろな書籍で使われていました。やはりヤマトは、この二人の物語です。

11月 全宇宙の命運をかけて

シド・ミード氏がデザインした第18代YAMATOは、優雅な曲線と力強い直線をもった見事なフォルムをしています。そして氏の作り上げた世界観は、まだ見ぬ未来を信じさせるのに十分でした。まずはメインの絵に全体像を乗せました。それまで馴染んできた宇宙戦艦ヤマトとは、似て非なるディテールを楽しんでください。
「それを制する者 宇宙を制する」超科学文明を持った異星人の遺跡を巡って地球とセイレーンの争いは24世紀から25世紀まで続き銀河100年戦争と呼ばれました。左のサブの絵は、銀河100年戦争の様子を描いたワンカットですが、ほんの数秒(2秒半)の為にカット袋(セルと動画とタイムシートが入ってる)が3cmを超える厚さになっています。これだけのセル画を大量に駆使したハイクォリテーのカットが延々と続くのですから、制作費がいくらあっても追いつきませんね(笑)。しかも、大判セル画も多用されていて保管にも骨が折れます。
 (大判のセル画を多用したシーンも、ほんの数秒で過ぎ去っていきます。劇場公開版クォリティーです)
 下段の絵で特に印象に残るのは、ナブとマーシィが銀河中心部の丘の上で、溢れんばかりの星々を眺めながら語り合うシーンでしょう。右端の絵の場所には、谷に沈んでいた第17代YAMATOを夕陽が照らす絵を用意していましたが、使えず残念でした。

 ナブとマーシィは、物語の最後でブローネ皇帝と死闘を繰り広げ、古代異星人の残した謎の言葉の正体を突き止めます。
 しかし、奮闘むなしく‥‥‥‥。
 是非、最後まで見せて欲しかった作品です。

 2520の製作も復活して欲しいと願ってやみません。

 

10月 アクエリアスとの邂逅

アクエリアスには宇宙の神秘を醸し出す不思議な輝きがあって、それは宇宙のぼんぼりのようだと西﨑氏は語っていました。
この絵も劇場用のフィルムから直接スキャンしています。ですから、キラキラと光り輝くリングも再現できています。綺麗な輝きですね。コロムビアレコードの「ファイナルへ向けての序曲」で特典としてつけられたアクエリアスの大判もあるのですが、そちらよりも、この特殊効果満載の1枚の方が、魅力的に映りました。そして、スクリーンでは見ることのできない、5月のテレサと同じように半端なく広いエリアが収録されていて驚かされます。DVDやブルーレイで確認していただくと実感できると思います。宇宙戦艦ヤマトのフィルムは、何度かファンの元へ特典という形で渡っていますが、それを拡大してみるということはなかなかできませんでした。
このシーンは、アクエリアスの中心部がぼんやりと輝いていますので、アクエリアスを撮影し、その上に、リングなどのオプチカル合成をしているので、線がどんどん甘くなっています(ぼやけてしまいます)。けれども、そのオプチカル、スキャニメーションによる合成を経て、当時のアニメーションとしては最高の絵を作っていると思います。
待ち受けるヤマトの前にゆっくりと姿を現すアクエリアスの姿は、完結編の見所の一つでしょう。

9月。コスモタイガー突入

「ヤマトよ永遠に」で唯一のコスモタイガーが活躍するシーンとなっています。「さらば~」の時のようにもう少し活躍するシーンがあれば良かったのですが、残念です。二重銀河を抜けて白色銀河に姿を現したヤマトの護衛にコスモタイガーが発進しても良かったですよね(尺が足りなくなるのでしょうけど)。
宇宙戦艦ヤマトは、絵、ドラマ、音楽の3つがそろって成り立つ作品です。特に、このシーンでの音楽、そしてアニメーションとしての絵は他作品の追随を許さないほどの完成度だと思っています。中間補給基地では、金田氏の独壇場と言っても過言でないほど、派手にコスモタイガーが飛び回ります。ですから、一連のフィルムを見ていてセル撮やイメージボードから絵を使うよりも、フィルムからエフェクトの入ったカットを使った方がビジュアル的に楽しめるのではないかと判断しました。流れゆくブルーの透過光。コスモタイガーの躍動。動きが感じられるカットです。
合わせて下段には、スターシャの元に帰るサーシャもエフェクトが入るラストシーンを使用しました。ブルーの効果が美しいですね。
フィルムから選りすぐった絵を満載した本も作りたいと思うほどです。

8月。諭す

古代は、語ります。
「生きぬくことは時として死を選ぶより辛いこともある。だが命ある限り生きて生きて生きぬこともまた人間の道じゃないのか」熱い古代の想い。信頼できる部下として、苦楽をともにした戦友として説得を試みる古代。
 残るのは自分一人でいい。
 この台詞を読むと、富山氏の声が自然と聞こえてきます。
 ビデオやレーザーディスク、DVDを何度見直したことでしょうか。
 島、南部、相原、太田の立ち位置までがしっかり記憶されています。
 「さらば~」では、外すことのできない印象深い場面で、ヤマトファンなら永遠に忘れられない場面ではないかと思います。
 このシーンと表紙の見上げる艦橋の2枚からこのカレンダーの企画はスタートしました。カレンダーのレイアウト(デザインを決めるときのアイディアスケッチ)は、この絵をはめ込んで作りました。
 下段に配置してある絵がこの月にないのは、この絵をトリミングすることなく使いたかったからです。

7月。雪の見る光景

7月。雪の見る光景
サブの絵と下段の絵は、都市帝国戦がメインとなっています。なぜデスラー戦の雪をここに配置したかといえば、デスラー戦以後の雪は、痛みに耐える、力ない、作り笑顔の絵しかないのです(ここまでの微妙な表情の描き分けに敬服いたします!)。佐渡先生が緩和ケアをしなかったのかできなかったのかはわかりませんが、術後で痛みに耐えているシーン、血の気の引いた表情で第一艦橋にくるシーン、被弾の衝撃で転がり落ちるシーン、古代の手を握り息絶え絶えに励ますシーン等々でとてもカレンダーにはできませんでした。カレンダーとは少なくともそれを見ることによって明るい気持ち、落ち着いた気持ちになれるものでなくてはなりません。そこで凛と振る舞う雪のベストショットをここに配置したわけです。
「私が行かなくて誰が負傷者の~」という台詞に込められた秘めた思い。グッと来るものがあります。
元々古代のプランの中には雪の乗艦はなく、負傷者が出た場合は佐渡先生に任せるしか頭になかったようです。行き当たりばったりですね。私の持論は、ヤマトの次期艦長は雪です。明確に先を見通す力を持ち、的確な分析能力に裏付けされた実行力。多くのクルーをまとめる力を持ち合わせているのは、雪だけです。パート1からの数々のエピソードを思い返してみれば、思い当たる節が山ほどあることでしょう。後先考えずに飛び出す古代には、一抹の不安を覚えます。
サブは、波動砲命中を喜ぶ南部と相原です。実際の映像では透過光が右上から入っていました。お二人とも本当にうれしそうです。そして生きて帰ったのもこのお二人です。
下段のしたり顔のズォーダー大帝からは、台詞が浮かんできますね。サーベラーについては、ごめんなさい。

6月。最高のデスラー総統に逢う

6月デスラー総統登場。
ヤマトへの復讐に燃えるデスラー総統。最新鋭の駆逐艦でリベンジを果たすべく奇襲攻撃を仕掛けるが!意外な結末を迎える悲運の武将。この物語を機にファンになった方も多いと思います。
デスラーの凛とした佇まい、それとは逆に千々に切れたマントが勝敗の行方を物語り、哀愁を誘います。このとき既に自身の行く末を悟っていたのでしょうか。ワンカットから微妙な感情が伝わってくるいい絵だと思います。是非、この6月を手に取り何度も見返してください。デスラーへの思いで胸が熱くなります。
サブ絵のタラン将軍は、後ろに映るヤマトと相まって絶妙な構図となっています。デスラー総統は露出が多いので、タラン将軍をメインに進めていましたが(実はビーメラ星の女王もメインで考えていた)、決してファンは多くはないがコアなファンのみが存在するキャラクターの絵を一ヵ月間見ているのはどうかと思いとどまりました。要望があればタラン将軍の1枚絵でも勝負いたします。ヤマトのカレンダーは、アカデミーの時代から大きさや絵の趣向を変えながら発売されているので、新規に制作するのには苦労させられます。
余談ながら、下段の佐渡先生とアナライザーの組み合わせが違っていました。

5月。初夏の爽やかさをテレサに

5月は、掟破りのテレサのアップです。なにが掟破りかといえば、テレサの姿です。アニメ史上登場シーンが全て全裸はなかったと記憶しています。全裸ではあるけれど全くイヤらしさを感じさせない絵に驚きました。宇宙の危機を伝えるテレサの美しさに息をのみました。構図も見事でした。あれから34年経って更に驚いたことがありました。それは、劇場用フィルムをスキャンしたときです。古代、真田、斉藤の足を見ればわかりますが、フレームからはみ出しスクリーンに映らない部分まで(下端の部分には色が塗られていない!)フィルムに収録されていたのです。DVDなりBDなりでこのシーンを見て頂ければ、映っていないことがわかると思います。10月のアクエリアスのシーンも同様に画面(フレーム)に入らない部分までフィルムに収まっています!
 是非とも5月の一番下を見てください(印刷時の裁ち切りで少し切れてますが)。
 透過光の使い方と、構図と人物描写のうまさ、そしてこの映画の象徴的なシーンとして、このカットをメインとして他の月よりも大きく配置しました。「さらば~」の中でも屈指の名画です。

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4月です。新しい年度の始まりです。

4月は、「さらば~」からのセレクトです。
4月は、新しい学年がスタートし、また、新しく社会人となる方もいらっしゃいます。新規にスタートするイメージで絵をセレクトしました。ゴォーっと大量の水が注ぎ込み第一艦橋まで水位が上がってくる発進のプロセスで、緊張感が伝わってくるシーンです。古代たちは、宇宙の危機のために自らの地位を捨てて旅立ちます。見事なシチュエーションです。下段右端には、さりげなく未公開カットを追加しました。南部が古代に発進準備の報告をするシーンです。ひおあきら氏のコミックには描かれていましたね。
これらのシーンは、「Proud of YAMATO Visula BOOK BL」にフルカラーで絵コンテが収録されていますので、是非ともご確認ください。(なんで絵コンテがフルカラー?と思われる方もいるかと思います。絵コンテは黄色い絵コンテ用紙に鉛筆で描かれていますから、微妙なかき分けを再現するにはフルカラーが最適なのです)

3月です。

3月は、宇宙戦艦ヤマト全シリーズの中でも屈指の名場面=古代のモノローグです。
このページで使われている絵が24話以降からのセレクトになったのは(沖田艦長除く)、大団円へ向けての印象深いシーンを選んだ故です。雪の亡骸に思いの丈を打ち明ける古代の深いの想い。初めて見たときに、切ないBGMとスポットライトの階段を昇っていくという演出に思わず目頭が熱くなりました。16mmフィルムと35mmフィルム、アーカイブ用のフィルムから一番見栄えのするフィルム(※1)を選りすぐりました。
 ※1 今回のカレンダーでは、様々なマテリアルを使用しています。原画からの直接撮影もクリアで見応えがあるのですが、フィルムの粒状感が醸し出す雰囲気も大切にしたかったのでシーンに合わせてチョイスしています。特に「永遠に」以降は、透過光や特殊な撮影がされていてスクリーンで見た映像が印象に残っていますので、劇場用フィルムからも使用しています。
 この古代と雪のシーンは、女性ファンに特に人気がありました。サブの絵は、劇場版用に描かれたイスカンダル星から主翼を広げ発進する宇宙戦艦ヤマトです。このアングルからのヤマトは力強さがあって気に入っています。横からや後ろからのパースは多いのですが、正面上からの絵は少なく貴重です。
 下段中央の古代と雪の絵は、以前カレンダーとして使用されたものです。トリミングする前は左右にかなり広い絵です。

 3月は、年度末ということもあり、いったん物語に区切りがつきます。

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