この絵こそ、まさに「さらば宇宙戦艦ヤマト」!ですね。堂々たるズォーダー大帝に、宇宙で最強の帝王としての風格を感じます。これだけの強敵を前にヤマトは、古代はどうやって闘うのだろう?と思いめぐらせたものです。
あの夏の日、徐々に露出が増えてくる「さらば」の情報。それが「絵」であったり「文字」であったりで心躍らされたものです。
作品を表現するキービジュアルは、アニメ雑誌などに幾度となく掲載されたので採用しない方針の「Proud of YAMATO Visual BOOK」ですが、この絵だけは別格です。湖川氏の力の入ったデッサン力に目を奪われます。
また、背後に飛翔している空母や艦載機は、蒼い宇宙空間に写真を切り抜いて貼り付けてあります。恐らくセル画に描かれたものを写真用のカメラで撮影し、縮小プリントして(サイズから縮小サイズを計算して!)貼り付けています。ここは、カメラマンや現像スタッフ(?)の腕の見せ所です。
また背景の宇宙は、水色に近いほど明るく、雑誌などで見ていた絵が頭の中に残っているので違和感を持ちます。ロードショー別冊では、本書よりも更に露出を落として暗く撮影しています。ズォーダー大帝のコスチュームが背景の真っ暗な宇宙に溶け込んでいると思います。恐らく、敵の不気味さを出すために「暗くしろ」と指示を出したのではないかと思います。
PCが発達している現代では、例えばフォトショップやイラストレーターなら、バウンディングボックスがキャラクターに付いていますから、四隅のどこかをドラッグすれば、画面の中で拡大、縮小が自由自在です。
当時のアナログ全回だった頃の苦労が偲ばれます。